植民地の記憶をどう伝えるか2:帚木蓬生氏講演会「自著『三たびの海峡』を語る」
2018年2月10日(土)
 

【日時】 2018年2月10日(土) 14時~16時30分

【場所】 東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館ホール
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【講師】 帚木蓬生氏

【講演タイトル】 自著『三たびの海峡』を語る

【言語】 日本語(通訳なし)

【手続き】 事前登録なし、無料

【主催】 東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構・韓国学研究センター

【後援】 東北亜歴史財団

【協賛】 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻

【連絡先】 東京大学大学院総合文化研究科
グローバル地域研究機構韓国学研究センター
cks@iags-cks.c.u-tokyo.ac.jp

【開催の趣旨】
   帚木蓬生著『三たびの海峡』は、戦時下、九州の炭鉱に強制連行された朝鮮人・河時根を主人公にした作品。1995年にはこれを原作とする映画も作られました。炭鉱からの逃亡し朝鮮人集住地で暮らすようになった河と日本人女性との恋愛、その後の別離という戦時下の話と、さらに韓国で暮らしていた河が、数十年ぶりに日本の連行先の土地を訪れての話が描かれています。作品から読み取れる、日本の加害の歴史に向き合い、韓国・朝鮮の人びととの友好を築こうというメッセージは、今日の日本でますます重要になっていると思われます。また、炭鉱労働の過酷な実態や、朝鮮人集住地、そこでの暮らしの描写は、その時代の実状をリアルに伝える描写を含むこの作品は、過去の記憶の記録、継承に携わる者にとって、大いに参考になるものです。
このたび、著者である帚木蓬生氏を東京大学駒場キャンパスにお招きし、ご自身にこの作品の執筆についてご講演をいただきます。多くの学生、教職員、一般市民のご参加を呼びかけたいと思います。

【帚木蓬生氏プロフィール】
  1947年、福岡県生れ。東京大学仏文科卒業、テレビ局に就職するが、退社して九州大学医学部で学び、精神科医となる。精神科医としての仕事とともに小説を執筆し、1993年には『三たびの海峡』が吉川英治文学新人賞を受賞。その後も、『閉鎖病棟』(山本周五郎賞)、『蠅の帝国―軍医たちの黙示録―』『蛍の航跡―軍医たちの黙示録―』(日本医療小説大賞)など、数多くの作品で多くの読者を獲得している。また、小説のほか、精神医療、ギャンブル依存の問題を論じた著作も発表している。

(『三たびの海峡』 新潮社、1992年、より)
「自分の都合のよいように、粉飾したり改変を加えた歴史からは、束の間のつじつま合わせしか生まれて来ない。たとえそれがいかに心地よいものであっても、長続きはせず、いつかしっぺ返しが訪れるのだ。私は日本にそういう道を歩んでもらいたくはない。」